“事”が終わった直後にビートを襲ったのは甘い余韻ではなく、脳天を直撃した激痛だった。
「っってぇ! 何するんですか、いきなりっ!」
「うるせぇっ」
フォルテッシモは薄い羽毛布団の隙間から覗かせた長い脚をぶらぶらと揺らした。
何も纏っていないその姿は非常に刺激的だが、そんな事に意識をやる余裕はない。
何しろ今しがたビートの頭に大きなコブを作った凶器なのだ。
完全に油断していたからめちゃめちゃ痛い。目の端に僅かに涙が浮かんだ。
(・・・痛いけど、さすがに医療キットを使う気にはなれないな・・・)
後で冷やそう。うん。
それより今は、
「・・・で、なんなんですか?」
「・・・・・・」
フォルテッシモはぶすっと頬膨らませると(いつもより数倍子供っぽく見える)、ビートに背を向けてベッドに寝転がった。
「・・・何が・・・・・・だよ」
「は?」
ちょうど頭を冷やすための氷を取りに行こうと腰を上げたところだったので、ベッドの軋みが邪魔をして聞き取れなかった。
ビートが聞き返すとフォルテッシモは半ばやけになって叫んだ。
「何が『初めて』だっ!?」
「・・・・・・・・・は?」
「初めてのやつがすることか!?」
「えーと、それは」
「ヤる前は中坊みたいにグダグダ言ってたやつが、」
「いやそれは、」
「始めた途端迷いなしかっ」
「だから、」
「咥えるわ舐めるわ」
「あの、」
「 !!!」
最後に至っては声がでかすぎて聞き取れなかった。剣幕に押されて耳を塞いだせいだが。
「お前はどこであんな知識を・・・!」
「いや、それは・・・」
「みんな入ってるでしょ?」
さも当然、というように言われるが意味がわからない。フォルテッシモは窺うようにビートを見る。
「・・・・・・なに?」
「セックスの仕方ぐらいデータとしてみんな入ってるでしょ。自分で経験したことはなかったですけど」
さらりと続けられフォルテッシモは動きを止めた。ついでに思考も。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「フォルテッシモ?」
「・・・・・・そのデータは・・・・・・いやなんでもない」
(・・・・・・まさかセックスの48手が入ってるんじゃないだろうな)
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今までで一番ガチでビシモかもしれない。
フォルテッシモがぎゃーぎゃー騒いでるのは照れ隠しです。多分。
合成人間の初期動作で入ってるデータは戦闘・戦略データ以外にも日常の知識が入ってるよね。
vsイマジネーターで綺ちゃんがやらされてたけど、性行為を任務にしてる合成人間もいるわけですよね。
どこだか忘れたけどラウンダバウトも言ってたよね。自分はしなくて済んでいたけど、そういう任務に回される場合がある、みたいな話(話してた気がするんだけどどこだったか全然思い出せない・・・。読み直すか)。
そういう任務もあるならある程度の性知識もデータとして刷り込んであるんじゃないか、な?
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