「そんなもん邪道だ」
目の前の全身薄紫の背の低い男は、俺を睨み上げてそう言った。
街を歩いていたら偶然彼と会った。その時彼は一人で、いつも家来のように傍に傅いている男がいなかった。
こちらから声を掛けると、やや動揺したのか警戒する素振りを見せたがそれも僅かのことで、直ぐにいつもの不遜な態度でこちらに応じた。分かり辛いが、気配から察するに彼は機嫌が良い様だった。
自分の方から接触したのもの、正直行き成り戦闘になる可能性もゼロではなかったので、彼のこの後の穏やかな提案に安心するよりも呆気にとれられてしまった。
「この近くに美味いクレープ屋がある。ちょうど食べたかったところだ。イナズマ、お前も付き合え」
フォルテッシモのお勧めの店、というのはデパートの地下にあった。軽食コーナーの一角にある、女の子趣味の可愛らしい店だった。ハッキリ言って俺はこういう場所には縁がないので、なんだかむず痒い気分で彼に付いて行く。
彼がピーチコンボ、とかいう賑々しいクレープを頼んでいるのを横目に見ながら、馴染みのない可愛らしいカウンターでクレープを頼んだ。
それぞれ注文したクレープを受け取って、席に着こうとした時に言われたのが冒頭のセリフだ。
彼は俺の手の中のクレープを見ると、途端に眉を顰めた。
「なんでサラダクレープなんだ」
「なんでと言われても・・・・・・。甘いものはあまり好きじゃない」
「だとしても、」
彼はじれったそうに足を踏み鳴らした。
「昼飯時ならまだ許せるが、3時だぞ!?」
彼の言わんとしていることが分からず俺は口篭った。この場合、時間はそんなに大切なのか?
「しかもBLTマスタードクレープ!? マスタードだと!? 意味が分からん」
俺もわからない。
最初の上機嫌はどこへやら。結局、彼は別れるその時まで不機嫌に口を噤んだままだった。
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クレープは甘いデザートに限ると思ってる最強たん。
サラダクレープなど認めん! くらいの勢いだといい。
亨さんは甘いもの食べるイメージがないです。食べれなくはないけどあんま好きじゃなさそう。
しかし私はどんだけフォルテッシモにクレープ食わせたいんだ。
でもチャンスがあればまた食わせます(ぇ)。
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